女王陛下の国/その3
- 高橋 裕子
- 2016年6月30日
- 読了時間: 2分
前回はイギリスという国をひとりの男になぞらえてみたが、 実際はやはりそれほど単純ではなかった(苦笑)。
彼はそんなに潔く集団を飛び出したわけではなく、 最後の瞬間までウジウジと迷っていたのだ。
土壇場の勢いでなんとか出奔したものの、 後ろ髪を引かれまくりだったようだ。
本当は今からでも戻ったほうがよいのではないか、とか バカを言うな、そんなみっともないことができるか、とか 何を言う、これは正しい選択だったのだ胸を張れ、とか 頭をかかえてうずくまり、心は千々に乱れ 周囲からは白い眼で見られ、もはや混乱の極みである…。
それにしても若者が We Love EU! とデモをするとは驚いた。 鎖国を決めたわけでもないのに、移民たちも悲観していて。 そこまで、怒ったり嘆いたりするようなことだったのか…。
EUという大きな枠組みから自由になるのではなく むしろ国内に閉じ込められるような気分なのか。
誰もが今回の結果を本当にひどいことのように言うので ちょっと当惑した。 経済だけがそんなに大事なの?とも正直思ったし。
理性が感情に負けたとか エコノミーがエモーションに負けたとか まるで扇動者が衆愚をそそのかしたみたいに。
離脱派の代表があの人に似ていたのも悪かった。 アメリカの国境に高~い壁を築こうなどと主張した、あの人に!! ビジュアルも主張も妙にダブっているのがいけない。
ヨーロッパ諸国の極右政党もエールを送ったりしているが 彼らも立場が違う。経緯が違う。エネルギーが違う。 表面の言葉だけでひとまとめにしてはいけない。
なんにせよ、1票でも多いほうが勝つと最初から決まっていたのに、 結果が出てからやり直しを求めるのはおかしいし、
離脱は人の移動だけでなく、経済情勢に影響するのは自明だったのに、 そこを画策して今さら有利に運ぼうとするのもおかしいし、]
どっちもどっちだ。 むずかしい。でも他人事だから面白い。
スコットランドやウェールズが独立して、移民や若者が脱出して、 「歴史と文化を重んじる、ただの非力な小さな島国」になったりして。
…ん? それって… ほんの2百年前まで鎖国していた東洋の島国と似たようなものでは?
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